どうすれば速く走れるか?
速く走ることは,子どもにとっては勉強ができることや腕力が強いことと同じか,それよりも重要度が高いと思う.少なくとも私が小学生,中学生時代はそのように思っていた.
最近は速く走るための指導書なども沢山出版されている.
共通することは,走る速さは生まれつきで決まる訳ではなく,上手に走ると誰でも走力がアップするということではないだろうか.
確かにそのことには100%納得できるが,男性で考えて誰もが100mを10秒50以内で走ることは難しいと思う.100m12秒台の選手が11秒中盤で走ったり,11秒中盤の選手が10秒台で走れるようになったりということは可能だあろう.したがって成長期の小中学生は発育発達段階に個人差があるので,記録や他人との比較で考えるよりも,個々の現状の走力を如何にアップさせるかという意味で理解することが重要であるように思う.
走力 = ①ピッチ × ②ストライド と定義すると
①ピッチをどれだけ限界まで上げられるか,②ストライドをどれだけ広げられるか,と単純に考えることができるが,ストライドを広げ過ぎるとピッチが上がらない,あるいはピッチを上げ過ぎると走りが小さくなり,ストライドが広がらないという問題が出てくる.なので個々のちょうど良い加減のピッチとストライドの割合を見つけることも重要であろう.
特に運動会の徒競走を見ていると,極端にストライドが長くピッチが遅い子がいたりするので,このような選手は少し指導するだけで速くなるであろう.あるいは,速いピッチで足を動かした経験がないのであれば,速いピッチの走り方を練習すれば簡単に速く走ることができるだろう.
①ピッチを上げる練習 (腿上げ,踏みつけ)
1)ラダー系
2)ミニハードル系
3)腕振り
②ストライドを広げる練習
1)バウンディング系
2)ハードルジャンプ系
3)ボックスジャンプ系
4)立ち幅跳び
5)ストレッチ系,股関節ドリルなど
今回はピッチとストライドに絞ってまとめたが,実際には上半身と下半身のバランス,腕の振り方(肩甲骨),体幹の使い方(骨盤,股関節)など個々の選手に応じて考えなければいけない.
どうやったら速く走れるかという単純な問いに対する回答は,技術論では,速く足を動かす,ストライドを伸ばす,その為には,股関節,肩甲骨を大きく使う,腰が落ちない,軸がぶれないなどになるであろう.ではどうやったら,そのような技術が身に着くかと言ったらそりゃ練習しかないだろうが,小さいうちから外で良く遊び,豊富な運動経験を持つことが重要ではないだろうか.